形井先生の「お灸で妊活」のすすめ 第1弾

 筑波技術大学名誉教授、医学博士・形井秀一先生に、『生活のリズムをつくり出す自律神経の乱れをお灸でととのえ、日々の生活をゆったり暮らすことが、なぜ妊活に必要か』をお話しいただきました。

「お灸で自律神経をととのえる」

冷えとは

 妊娠しにくい要因として、「冷え」があります。
「冷え」自体は、東洋医学の中にはありませんが、「厥冷(けつれい)※」という言葉があります。
 健康であるためには、「気」や「血」の流れを重要と考える東洋医学では、その「気」や「血」の流れのバランスがくずれたことを意味する、「厥冷」というコトバが、2000年以上も前から使われてきました。
 それをわかりやすく日本語に置きかえて、冷えという言葉が使われてきたのです。
※厥冷;四肢末端から冷えること。

 冷えの症状のある女性のカラダは、冷えだけでなく、腰がだるい、肩がこる、頭痛がある、元気がない、夜眠れないなど、さまざまな、いわゆる不定愁訴(はっきりした理由や原因がないカラダの不調)をもっている人が多いということが言えます。
 そして、冷えやその他の不定愁訴は、どれが始まりの問題というのではなく、ある意味、横ならびの問題なのです。
 女性がよく持っている不定愁訴のひとつに、冷えもあると考えるほうが、正しいと言えるのです。
 だから、冷えだけを悪者にしてそれを解決する、という発想で、冷えをとらえないほうが、いいと思います。

自律神経とは

 私たちの生活のリズムをつくり、そのリズムをカラダの活動に反映させているのが、自律神経です。
 自律神経の「自律」は、自ら律すると書きます。私たちは、自分の意志で、筋肉を動かす、歩く、考えることなどを意識的にしていますが、それとは別に、意識しなくても働いて、呼吸や消化吸収、排便、蓄尿、排尿などの内臓器官の働きや、血液循環、等々、カラダの諸器官、組織の働きを調整してくれているのが自律神経なのです。
 その自律神経のリズムは、朝、日が出て、昼になり、夕方日が沈んで夜になるという、地球のリズムとほぼ同期しています。
 そして、この自律神経のリズムが、何十万年も前にできあがって、私たちのカラダにも刻み込まれています。
 しかし、現代の私たちの生活を見ると、面白いテレビがある、楽しいゲームがあるから、夜遅くまで起きている、というように、自分の意志で、そのリズムに反することを行っているのです。

自律神経のリズムは、地球のリズム

 私たちのカラダのリズムを作りだしている自律神経は、私たちが、意識的に、地球のリズムに反する行動をとり続けることで、そのリズムが乱れてきます。
 私たちは、生活のリズムを自然のリズムに近づける(もどす)ことが大切ということはわかっているのですが、なかなか自然のリズムに戻すことはできないのが現状です。しかし、できるだけ距離がはなれないように、自分の体調と相談しながら、努力して、自律神経の負担を軽くすることにつとめることも大切です。
 自然のリズムから私たちの暮らしのリズムがはなれ過ぎると、自律神経が乱れ、さまざまな不調があらわれてきます。
 冷えもそのひとつ、便秘もそうです。
 そういう不定愁訴の症状が見えてきたら、自分のリズムが本来のリズムからはなれてきたのではないかと考えて、リズムの乱れを調整することが必要なのです。

自律神経の乱れに鍼灸治療がおすすめ

 そのためには、まず、自分の生活を見直し、整えることが第一です。そして、もうひとつ、私が鍼灸治療を続けている大きな理由の一つなのですが、それは、鍼灸治療は、自律神経の乱れたリズムを正常な方向に向ける手助けをしてくれる働きがあるのです。
 一回、鍼をする、お灸をすると、もとにもどるということは望めない状況になっている現代人ですが、何度かつづけているうちに、自分の自律神経のバランスの適切なところに、カラダがもどっていくことを手助けします。
 だから、自分で生活のリズムをもどす努力をしながら、自宅で自分でできるお灸をすることも、いい方法なのでおすすめします。
 「妊活」をあまりにせまく、それしかないというように考えたり、すべての原因が冷えだけにあるという考えかたに落ち入らないでほしいと思います。自分の人生の途上のこの時期に、いい機会だから、生活を改善していこう、いろいろ勉強もして、自律神経の乱れをうまく調節できるような改善の方法も身につけられたらいいな、といった発想で、お灸をとり入れてみるのも、いいのではないかと思います。

監修
形井 秀一(かたい しゅういち)


筑波技術大学名誉教授、医学博士、WFAS(世界鍼灸学会連合会)副会長。
日本伝統鍼灸学会前会長、全日本鍼灸学会参与、
WHO経穴部位国際標準化会議(2003年〜2006年)日本代表。
洞峰パーク鍼灸院・院長
http://www.k.tsukuba-tech.ac.jp/cl/
http://www.doho-acu-moxa.com/